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【校長ブログ】自然の美しさとは…

 今日は冬至。この季節、冷え込みが厳しくなると同時に大気の乾燥した季節となり、校舎から見える丹沢の山並みと富士山は朝から夕に異なる美しい姿を見せてくれます。

 では、「自然は美しい」のでしょうか、それとも「美しい自然」なのでしょうか?『昆虫記』で有名なジャン=アンリ=ファーブルは、「『自然の美しさ』という言葉ほど空虚なものはない、目の前の『美しい自然』があるだけだ」と語っています。確かに圧倒的な自然の前では、人の存在とは小さな存在に過ぎません。

 文京区千駄木にNPO日本アンリ・ファーブル会の運営する小さな昆虫館、「虫の詩人の館 ファーブル昆虫館」があります。土・日曜日だけの快感ですが、生体展示や標本、飼育方法の紹介のほか、地下1階にファーブルの生家を復元したスペースがあるファーブルにこだわった昆虫館です。説明によれば、「虫好きな子供たちを増やした」という会員の思いから入館料は無料なのです。

 昆虫繋がりで言えば、『ファーブル昆虫記』(小学館)の挿絵に代表される、自然の中の虫や草花を描き続けた画家に熊田 千佳慕(ちかぼ)さんがいます。彼の描く絵は「生きている」と評されるほど、細部に至るまで忠実で躍動感に満ちています。地面に這いつくばり、顔をギリギリまで近づけて、虫の目と同じ高さの視点で観察して描いた絵は迫力満点です。熊田さんは2009年に98歳で天寿をまっとうされていますが、没後HKBSのテレビ番組シリーズ『あの人に会いたい』で取り上げられました。今はお目にかかることはできませんが、その熊田さんが記したエッセー『熊田千佳穂の言葉 私は虫である』(2010 求龍堂)でお会いすることができます。その中で熊田さんは、次のように記しています。

 「みんな同じ、みんな同じ生きもの」「人々がそのことに気づいてくれたら、もっと素敵な世の中になるのではないでしょうか。微力ながらそんな思いも抱きながら、私は絵を描いています。」と。

 さらに、「わざわざ休日を作ったり、遊びの時間を作ったりすることが「ゆとり」であると思うのは大きな間違い       である。生活の中の小さなゆとり。身のまわりにあるものに愛を感じ、美しさを感じ楽しいひとときを持ち、生活の中に豊かな感性を持つことが本当のゆとりである。現在騒がれている学校や社会のゆとりは、只、単なる休む時間であり遊ぶ時間である。精神的なものを伴っていない。」と。

 いかがですか?明日から冬休みですが、年末年始、皆さんはどのように過ごすのでしょうか?

 最後にもう一つ、「生きるということは、ある一つの目的に向かって、一日一日を積み重ねていくことです。」という熊田さんの言葉をお借りして2021年を締めくくりたいと思います。すべての出来事には時があります。受験生の皆さん、今という時間を大切に食事と睡眠をしっかり摂り、手洗い・消毒などウイルス対策を忘れずにして目標達成を目指してください。努力は裏切りません!