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小さな学校の大きな挑戦

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聖ヶ丘ニュース
校長

【校長ブログ】大学見学会報告

 緊急事態宣言が解除され、本校でも学校行事や授業もゆっくりと慎重に「日常」に戻して行こうと準備を進めているところです。さて、こうした中、先週末の16()には対面式で中学保護者会を開催、今週末の23()にも同様に高校保護者会を実施します。ここでは、来年から始める新しい本校の取組(学校改革)について、新しいリーフレットを用いながら説明いたします。特に、探究学習と変わる大学入試を見据えて話をします。

 それを踏まえ18(月曜日)には、教育後援会の協力を得て久しぶりに対面式で保護者対象の大学見学会を実施いたしました。中学1年生から高校2年生までの保護者の皆様と、学校からは歌田教頭と私が参加しました。コロナ禍の中、数多くの大学に協力を打診した結果、今回は午前に文系大学として亜細亜大学(武蔵野市)、午後には理系大学として東京薬科大学(八王子市)のキャンパスを訪問することができました。

 亜細亜大学は、前身の専門学校、短期大学を経て1955年に開学した社会科学系の大学で、JR中央線武蔵境駅から徒歩5分のところにあります。現在5学部8学科を有し、総合型選抜の先駆けともいうべき「一芸一能」入試というユニークな入試方式を取り入れた大学として知られています。当時の学長であった衛藤 瀋吉先生(2007年没)が始めたこの新しい入試方式はマスコミでも話題となったことを今でもよく覚えています(衛藤先生には私の大学時代に授業でお世話になりました)。この方式で国際関係学部に合格された人として、アルピニストで環境問題に詳しい野口 健さん(1973年ボストン生)がいます。

 貸し切りバスで同大学に到着すると、入試課の方々と並んでマスク姿ながら本校30期生で大学1年生のIさんが笑顔で迎えてくれました。説明会では入試課の皆様からそれぞれの学部の特徴について、丁寧な説明がありました。なかでも、1年次にネイティブの先生1人につき20人程度で1年間実施されるフレッシュマン・イングリッシュ、14ものアジアの言語を学ぶことができるユニークな語学教育が展開されています。また、私ども学校と同じく「学びの主役は学生自身」というフレーズにあるよう、日本国内をはじめアジア地域でのフィールドワークを重視した実践的な教育には定評があります。説明に続いて「キャンパス・コンシェルジュ」の5名学生たちが学生生活や留学生活などについて説明と校舎見学をしてくださいました。見学の途中、食堂のある建物の前では、対面授業の始まった今、半年遅れで新入生のためのサークル案内などを、元気に明るくやっており、私たちにも笑顔で呼びかけてくれたのが印象的でした。そのエネルギッシュな雰囲気が亜細亜大学の魅力だと感じた次第です。学校に戻ってみると、ちょうど12代学長として永綱 憲悟先生(経済学)が着任されたというご挨拶状が届いていました。

 続いて午後は、八王子まで再びバスで移動して東京薬科大学を訪問しました。東京薬科大学は京王相模原線の京王堀之内またはJR中央線豊田駅からスクールバスで1015分、緑豊かな多摩丘陵の中に位置する閑静なキャンパスです。「私学で日本最初の薬学部」、「日本で最初の生命科学部」という2つの学部からなる大学で、構内入り口には「創立140年」の文字が掲げられていました。1号棟の校舎に到着すると、免疫細胞学の権威である田中 正人生命科学部長(医学博士)自らが出迎えてくださいました。薬学部では国家試験をめざし6年間をここで学び、多くの卒業生が創薬や病院実務、公務員などとして活躍しています。もう一つの生命科学部は4年間の履修ですが、約50%の方が大学院まで進学しているそうです。医療を取り巻く状況変化にあって薬学のもつ役割、また科学的発展の大きい生命科学の分野での研究と社会的貢献など、そして大学入試について説明を受けた後、構内見学をさせていただきました。授業中ということもあり、校舎内はとても静かで廊下を歩く私たちの足音だけが校舎に響くという感じでした。薬学部の実務実習教育センターのある教育5号館では、その名の通り大学5年目にほぼ1年掛けて行われるインターンシップの模擬体験ができる施設を見学しました。さらに生命科学部では、再び田中学部長がお出ましになり、最先端のゼミで行われている科学研究についてパネルを前に説明してくださいました。

 こうして半日かけて2つの大学キャンパスを訪問させていただき、日本のアカデミアの最先端のほんの一部に触れることができた貴重な機会となりました。大学進学率は東京都では70%であり、社会人となる直前の教育機関として大学教育の役割はますます大きくなっています。単に就職への通過点とした古い時代は過ぎ、21世紀の科学研究を担う場として、またグルーバルな社会で活躍するために求められる実力養成の場として、大学教育の意義、個性ある人材育成について改めて感じることができました。

 急な日程変更もあって、保護者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしましたが、私にとってもこの2つの大学は久しぶりに訪れるキャンパスであり、施設の充実や綺麗な建物群にも圧倒されました。今後も教育後援会と協力し、大学見学会を実施していく予定です。変わりゆく大学入試について、お子様だけに任せず、少し前の学生時代を振り返りつつ、学費分担者として一緒に見学しましょう。