【校長ブログ】親の学び場「聖塾(ひじりラボ)」のお誘い
「くちへん」に「虚しい」と書いて「嘘(うそ)」と読みます。嘘とは、「事実でないこと。また、人をだますために言う、事実とは違う言葉。」ですね。嘘は悪いことには違いがありませんが、これまでの人生の中で、嘘をついたことがない人は、間違いなくいないでしょう。
子犬を連れて散歩している近所の人と出会った時、どんな犬であれ、つい「可愛い犬ですね!」と言ってしまう自分がいたりします。その場合、「我が家の犬の方が断然、可愛い!」という人はいないでしょう。もしそうだとしたら、ご近所との喧嘩が絶えない状況になってしまいます。こうした嘘は処世術の一つとして受け入れられています。しかし、学校や家庭では、「嘘は良くないこと」として強く指導しています。ここに、大きな疑問と矛盾があります。思春期の子からすれば、処世術としてコミュニケーションの一つの手立てとして使っている嘘も、自分の嘘も同じであり、ともすれば親を「信用できない相手」としてしまいます。
では、なぜ子どもは「嘘をつくようになる」のでしょうか?先日、NHKのテレビドラマを観ていたら、「子どもは、親に正直に本当のことを伝えたとき、それを信じてもらえなかったときから嘘をつくようになる」という台詞がありました。さて、皆さんはどう考えますか?これもまた嘘なのでしょうか?
臨床心理学では、子どもが嘘をつく理由として次の3つをあげています。1)自分の失敗を隠そうとする場合 2)大人の注目を集めたい場合 3)願望が強すぎる場合です。また、子どもが平気で嘘をつくようになる理由の一つとしては、育った環境があげられます。たとえば、親のしつけが厳しく、管理している場合です。親に叱られるのが怖くて、嘘をついてしまうのです。さらには、成果があったときだけ褒められるような場合です。この際は、褒められたいがために平気で嘘をつくことになります。いずれも自尊心が欠如している子どもによく見られます。
ただし、子どもの嘘は成長の証しでもあります。子どもが嘘をつくようになる年齢は、記憶力が強くなり、想像力がたくましくなる4歳ぐらいからとされており、現実と空想とが入り交じった状態になると、勝手にストーリーをつくってしまうと言われています。ただ、大人からすれば、小さな子の嘘はすぐに分かってしまうものです。ただ、その嘘を注意するのにも年齢に応じた対処が必要です。闇雲に頭ごなしに怒ったり問い詰めたり、謝罪を強制したりしても、無意味な時期があります。
当然、十代の思春期に入っても嘘はつきものです。今度は、親が嘘だと見破る処世術を磨きましょう。むやみに問い詰めるのではなく、辻褄の合わない話を一度は聞き入れ、その矛盾を理解した上で、「なぜそうなのか」「嘘をついた背景」を理解する「心の余裕」が必要です。そうすることで、わが子をかばって嘘を信じ、誰かのせいにしたりすることもなくなり、親も子も明るく楽しい生活が過ごせるようになるのです。
そこで、本校ではこうした思春期の子を持つ保護者(特に中学生の保護者)の皆様と、悩みを一緒に考えたり、新しい学びの本質について考えたりする、親のための学びの場「聖塾(ひじりラボ)」を校長主催で行っています。年に4~5回の開催ですが、残念ながら昨年はコロナ禍で一度も実施できませんでした。今年は、周辺状況を鑑みながら開催したいと考えています。どうぞご期待ください。