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聖ヶ丘ニュース
校長

【校長ブログ】ラマダーン明けの日

 今日512日の夕方で、1ヶ月続いた今年のラマダーンが明けます。イスラーム暦(ヒジュラ暦)の第九月は、イスラーム教徒にとっては特に神聖な月とされ、「断食月」のことを言います。イスラーム教徒(ムスリムという)にとっては、だれもが断食を経験することで貧困と飢えを体感し、家族そろっての食事が神からの賜物であることに感謝し、ムスリムとしての連帯意識を育む月とされています。ただし、イスラーム暦は江戸時代までの日本と同じく太陰暦で1年を360日と計算しますから、普段私達が使っているグレゴリー暦(太陽歴)とズレが生じます。また、一日の始まりは日没であり、今年は413日から始まったラマダーンも今日の日没で終わり、翌日からはイードと呼ばれる苦しい断食を乗り切った喜びの祝いの1週間の休日が始まります。私もこれまでも何度か海外で、この日を経験しましたが、ラマダーン明けは町ごとに月を観測して「○時○分○秒」と決められており、ムスリムはたくさんの食べ物や果物、飲み物を持参してマスジット(またはマスジド、英語名ではモスク)に集まって来ます。こうしてラマダーン明けの瞬間には、花火が打ち上げられたりして、町中が大いにどよめき沸き返ります。世界最大のスラーム教徒を抱えるインドネシアやアラブ地方から北アフリカの都会では、家路を急ぐ人々で大渋滞するのが恒例です。

 ただ、断食と言ってもまったく飲食をしないのではなく、太陽が昇っている昼の間はつば(唾液)を飲み込むのもタブーとされ、毎日、太陽が沈むと祈りをした後に豪華な食事が始まります。これをイフタールと言い、国や地方によって食事内容はさまざまです。また、アラブ地域ではラマダーンに耐えた体に滋養をつけるためにナツメヤシの実を乾燥させたデーツと呼ばれる食品を食べるのが習わしです。今では、チョコレートやアーモンドを乗せたりして高級土産物として販売されています。アラブ首長国連邦のドバイで売られている最高級デーツ(Bateelが有名)の中には、1粒1000円もするものもあります。ドバイに駐在する私の子ども一家も、ご馳走を作って明日からのイードを楽しみにしているそうです。また、数年前に本校の生徒を連れてサウジラビア大使館を訪問した際、ちょうどラマダーンということもあり、本国から送られたという3kgもあるデーツの塊りをお土産に頂戴したことを思い出しました。

 さて、現在、日本には約2万人を越えるイスラーム教徒がいるとされ、と言われる礼拝堂が全国に100以上もあります。小田急線の代々木上原駅の近くには、東京ジャーミイ(渋谷区)と呼ばれる日本最大の豪華なオスマントルコ式のマスジット(モスク)があります。最近では、都内見学の訪問地の一つにもなっており、数多くの観光客が訪れています。ラマダーン明けに当たる今夕には、多くの信者が訪れ、盛大な祀りと食事会が行われる予定ですが、今年は…。日本の外務省も毎年行うラマダーン明けのお祝いを今年は中止する旨、ホームページで発表しています。年に一度は、大学生を連れて東京ジャーミイに見学に行くことにしていますが、さて、今年はどうなりますか…。