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【校長ブログ】ジョージアってどこ?

 激戦と混迷の中、アメリカ合衆国選挙の結果が見えてきました。最後まで激戦地の一つとなったのがジョージア州です。ジョージアという名は缶コーヒーの名でも有名ですが…。1027日、ファミリーマートのパウチ惣菜シリーズ「お母さん食堂」の新商品としてジョージア料理のシュクメルリが発売(276円+税)されました。ただジョージアと言っても、アメリカとは関係がありません。ここでいうジョージアとは、20154月まで「グルジア」と表記していた旧ソビエト領内の共和国のことです。外務省がなぜ紛らわしい国名に変更したのかといえば、公文書や外務省のホームページなどで用いる呼称に関する法律、「在外公館名称位置給与法」の改正により、他の多くの国と同様にグルジアから英語読み表記に変えることにしたからです。身近なことで言えば、これに伴って大相撲でも栃ノ心(春日野部屋)、臥牙丸(木瀬部屋)の呼び出しでの出身地名もジョージアと変更されています。ちなみに、わが国の正式名称は日本Nipponですが、国連や国際会議、スポーツなどでの国際大会は英語名のJapanを国際的呼称として使っています。同じく、ジョージアも自らの国名はサカルトベロと呼びます。

 また、外食産業の松屋には「世界の料理」という企画が数年続いています。今年1月から2月までは期間限定で「世界一にんにくをおいしく食べるための料理」としてシュクメルリ鍋を提供(780円+税)していました。現在では料理レシピ検索サイト”Cookpad. com“に、松屋公式レシピとしてシュクメルリの作り方が掲載されています。

 私は、15年ぐらいに前に独特の形をしたジョージア(もちろん当時はグルジアでした)語とジョージア文字に興味を持ち、1年間ネイティブの先生についてジョージア語を学習*する機会を得ました。また、学習のまとめとして一緒に学習していた仲間と、先生の故郷である首都トビリシを訪ねることにしました。先生のパートナーは、日本人で唯一のジョージア語研究者で現在でも東京大学や東京外国語大学で教鞭をとられています。私たちがジョージアを訪れた当時は、ロシアから独立して間もない頃で、資本主義経済が十分に根付いているとは言えない状況でした。国内に海外からの観光客を受け入れるための会社ができたばかりで、まだサービス業という考えが定着しておらず、トビリシ大学で日本語を学んだ卒業間もない女性をガイドに雇い、作り感満載のプライベートツアーになりました。ところが、ツアー最終日に事件は起きました。現地ガイドの確認不足で飛行場に行ってみると、目の前でイスタンブール行きの飛行機が飛び立つというハプニングに遭遇しました。空港係官も「あれが君たちの乗る飛行機だよ!」と空を指さすだけでした。帰国の途中でイスタンブールに4日間滞在する予定の私たち夫婦以外は、乗り継ぎですぐに日本に帰国する方ばかりでしたので、帰国後の仕事の連絡や多額の追加航空券費用で大変でした。しかも航空会社では現地通貨のリラしか使えないという状況で、二度も両替が必要でした。しかし、一度チェックアウトしたホテルに戻ると、一緒に旅した某大手出版会社の副社長ご夫妻がホテルにパスポートを忘れていたことが判明し、「怪我の功名だ」と、胸をなで下ろしたり慰め合ったりしました。ジョージアが自由経済への歩み半ばという状況を皆、理解していましたから、ツアーに参加した大手旅行会社勤務の人を含め、だれからも不満は出ませんでした。

 町の中心部の繁華街には、当時のジョージアの国情を象徴するかのようにミへイル=サアカシュヴィリ大統領とジョージ=ブッシュアメリカ合衆国大統領が抱擁した大きな看板が掲げられたのを覚えています。さらには、国内の少数民族をめぐる事情もあってロシアとの国境近くのオセチア地方に行った時は、国境の先のロシア側に並ぶ戦車隊が肉眼でも見え、緊張感が走りました。

 今ではジョージア訪問を組み込んだ団体ツアーがいくつも出ています(さすがに今年は無理ですが)。この地がぶどう・ワインの発祥地のひとつであること、キリスト教を初めて国教(ジョージア正教)として容認した国ということ、さらにはアフリカ大陸から出た新生人類ホモサピエンスが、世界に拡散する前にこの地にとどまりヨーロッパ、アジアへと、そして再びアフリカに戻った民族となったいわば人類にとって「揺籃の地」という魅力に溢れた土地柄です。

 最後に、寒さを乗り切るために、私が松屋のレシピに基づいて作ったニンニクたっぷりのシュクメルリと、ファミリーマートのパウチ惣菜、それに知人から教えていただいた春菊と柿・リンゴのヨーグルトサラダを別添え写真で紹介して、今回のニュースを閉じます。