【校長ブログ】海の日に思う
7月1日からスーパー、コンビニエンストアなどで持ち帰りに使われている「レジ袋」が原則有料となりました。その趣旨は、「普段から軽くて丈夫で、何気なく使っているプラスチック製の袋について、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの地球的規模の課題を考え、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用すること」となっています。ところで、日本では「レジ袋」と呼んでいますが、英語圏では"plastic bag"と言います。日本財団が主催する「地球子どもサミット2020」の今年のテーマは『海洋プラスチックによる海洋汚染問題』で、全国の中高校生が集まって討議する予定になっています。
一方で、2016年に環境省が行った国内10地点での調査では、レジ袋は国内で年間に出るプラごみの2%程度とみられており、海岸に漂着するプラスチックごみのうちレジ袋を含むポリ袋は容積比で0.3%だけでした。比率が高いのは、漁網やロープ26.2%)、発泡スチロールブイ(14.9%)など水産用産業用品で、生活関連では飲料用ボトルが12.7%を占めていたと、報告されています。
しかし、私たちが海に捨てたプラスチック製品は、摩耗して小さくはなるものの、ほとんどが分解されずに長い間、海の中を漂うことになります。そのため、多くの魚や海鳥が傷ついたり、餌と間違えて食べてしまったりしています。さらに、海洋を漂うプラスチックゴミは、マイクロプラスチック(5mm以下の大きさ)といわれるほど小さくなってしまい、回収不能になってしまいます。また、海底に漂っているゴミを「深海デブリ(Deep-sea Debris)」と呼んでいます。
沖縄県名護市にあるGODAC(ゴーダック)(国際海洋環境情報センター)では、海と地球に関する情報を整理・保存し、科学や教育などで利用できるようインターネットを通じて発信しています。ここでは、「しんかい6500」や「ハイパードルフィン」などの潜水調査船や探査機関を使って調査・解析した深海デブリに関する情報も発信しています。私たちがあまり知らない深海の生物やデブリなど多くの映像や画像をネットを通して閲覧することも可能です。
海の傍の埋め立て地で育った私は、小学校時代、毎日のように船に乗り込んだり、岸壁の下に潜り込んで遊んでいました。まだまだ「戦後」という時代で、魚やカニなどたくさんの海洋生物を採るだけでなく、太平洋戦争の残骸が遊び相手でした。聖ヶ丘は海から約30kmも離れた内陸で、海ははるか彼方ですが、国土の四方を海に囲まれる日本では、明日7月23日(木)を「海の日」と定めています。これまで何気なく使っていた「レジ袋」と海洋をつなげて考えてみること、関心をもつこと、それが私たちの求めている「探究」の第一歩になるのです。わくわくする学びを足元から始めてみましょう。